遭難とは?山での遭難件数とその原因について|低山でも道迷いのリスク

今回は、山での遭難について解説します。
山でどれくらいの遭難が発生しているのか、また遭難する原因などについてお話していきたいと思います。

 

遭難とは

 

遭難とは、その字の通り「災難に遭う」ということです。
通常は、山や海において命の危険性に関わるような状況に陥る状況を指しますが、この記事では、山における遭難について説明していきます。

 

「山における遭難、または山岳遭難とは、山において生死に関わる困難な状況に遭遇することを指す。具体的には道迷いや滑落、転落、病気、雪崩や急激な天候の悪化などにより自身では安全に山を降りることができない状態に陥ることを指す。怪我や最悪の場合死に至る場合もある。」
引用:ヤマレコ

 

遭難に関する報告書

山岳遭難については、各団体から調査報告書がまとめられています。
このページでは、警視庁と日本山岳・スポーツクライミング協会の資料を参考にしていきます。

 

警視庁
「山岳遭難 水難」

 

日本山岳・スポーツクライミング協会
山岳事故調査報告 | JMSCA 公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会 (jma-sangaku.or.jp)

 

山での遭難の件数

警察庁生活安全局生活安全企画課の「令和3年における山岳遭難の概況」によると、令和3年の山岳遭難発生件数は2,635件(前年対比+341件)、遭難者は3,075人(前年対比+378人)でした。

遭難概要

引用:令和3年における山岳遭難の概況

 

こちらの資料によると、最も遭難件数が多かった都道府県は長野県で257件。次いで、北海道197件、東京157件、神奈川県135件、兵庫県126件、山梨県116件、群馬県115件、新潟県112件でした。
日本アルプスなど高山が連なる地域と、登山人口の多い都市部に多く発生しているようです。

 

山岳遭難者を年齢層別にみると、70~79歳が最も多く22.8%、次いで60~69歳が18.6%、50~59歳が16.7%と続きます。50~79歳を合わせると、全体のおよそ60%近い値となります。

年齢層別山岳遭難者構成比

引用:令和3年における山岳遭難の概況

中高年の割合が多いのは、登山者自体が50歳以上に多く、山へ行く頻度も高いというデータがあり、それが背景にあると考えられます。

 

山で遭難する原因

山で遭難する原因にはどのようなものがあるでしょうか。

態様別山岳遭難者

引用:令和3年における山岳遭難の概況

 

道迷いが41.5%、転倒が16.6%、滑落が16.1%となっています。病気7.1%、疲労6.6%と続きます。
遭難と聞くと、悪天候などの気象条件によるものや、雪崩、落石、野生動物襲撃などが想像されますが、これらは全て合わせても全体の12.0%に留まります。

山で遭難する原因として、圧倒的に多いのが「道迷い」です。
道迷いから沢へ入り滑落するというケースはめずらしくありませんが、道迷いからの滑落は「滑落」に含まれるため、道迷いが遭難の最初の原因となった件数はこれよりももっと多いと予想されます。

 

山遭難での死亡率と死因

「令和3年における山岳遭難の概況」によると、令和3年の死者・行方不明者は283人。70~79歳が最も多く36.0%、次いで60~69歳が21.6%、80~89歳が13.8%と続きます。70~89歳を合わせると、全体のおよそ70%を超えます。

登山における大きな死因は、「外傷」、「心臓突然死」「寒冷障害(低体温症・雪崩埋没)」が知られています。

 

「登山における3大死因として「外傷」、「心臓突然死」「寒冷障害(低体温症・雪崩埋没)」が知られています。
山岳遭難死の原因には地域性があり、長野県では岩稜帯の山が多いことから「外傷」が最も多く、富山県では豪雪地帯のため「雪崩」が最も多い死亡原因になっています。一方で、地域差なく一貫して発生しているのが「心臓突然死」です。」
引用:松本協立病院

 

遭難しやすい山

YAMAPでは、「日本一道迷いしやすい登山道2022」というものを発表しています。
YAMAPアプリには、登山中の危険な場所やおすすめスポットなどを投稿できる「フィールドメモ」という機能があり、そのメモを書く際に「迷いやすい」というタグを付けることができます。今回は、「迷いやすい」というタグが付いたものを抽出し、そこから道迷いしやすい登山道を順位付けしたそうです。
結果は次のようになっています。

 

【1位】岐阜 / 各務原(かかみがはら)アルプス 権現山(ごんげんやま)〜桐谷坂(きりやざか)峠
【2位】埼玉/天覚山(てんかくさん)〜吾野ノ頭(あがののあたま)
【3位】埼玉/子ノ権現(ねのごんげん)〜六ツ石ノ頭(むついしのあたま)
【4位】滋賀・三重/御在所岳(ございしょだけ) 武平峠(ぶへいとうげ)近く
【5位】埼玉/高畑山(たかはたやま)〜中ノ沢ノ頭(なかのさわのあたま)
引用:YAMAP

 

上記の5か所については、いずれも標高1000m以下のものが中心であり、道迷いは標高の高い山に限ったものではないことが分かります。むしろ手軽にいける低山は、多くの人が山に入り、本来の登山道以外にも踏跡を残すので、道迷いのリスクは高いと言えます。

 

まとめ

今回は、山でどれくらいの遭難が発生しているのか、遭難する原因などについてお話ししました。
まとめに移ります。

 

・山岳遭難とは、山において生死に関わる困難な状況に遭遇すること。
・令和3年の山岳遭難発生件数は2,635件(前年対比+341件)、遭難者は3,075人(前年対比+378人)。
・最も遭難件数が多い都道府県は、長野県で257件。次いで、北海道197件、東京157件、神奈川県135件、兵庫県126件。
・山で遭難する原因は、道迷い41.5%、転倒16.6%、滑落16.1%。道迷いが圧倒的に多い。
・登山における3大死因は「外傷」、「心臓突然死」「寒冷障害(低体温症・雪崩埋没)」。
・YAMAPでは「日本一道迷いしやすい登山道2022」を発表。低山でも道迷いのリスクは高い。
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