登山用レインウェアって洗濯していいの?
防水透湿素材って言っていたから洗わない方がいいのかな?
登山用のウェアや道具は、高い機能性を保つために手入れが必要です。
特に登山用レインウェアは、雨風から身を守ってくれるものなので、よりメンテナンスが重要になります。
とは言っても、それほど複雑な作業はありません。
基本的な手入れさえすれば、それだけで機能性を十分長く保つことができます。
今回は、登山用レインウェア手入れ(洗濯から収納まで)を完全ガイドします。
登山用レインウェアの手入れ手順
登山用レインウェアの手入れ手順は、4段階に分けられます。
- 洗濯
- 乾燥
- 撥水回復
- 保管
基本は「しっかり汚れを落とす」、「乾燥させる」の2つです。
これはレインウェアに限らず、すべての登山道具の手入れに共通して言えることです。
汚れや水分が付いたままだと本来の機能が発揮できなくなっていきますので、基本的には使用ごとに汚れを落とし乾燥させます。
その後、必要に応じて撥水向上の処理を行います。
それでは、登山用レインウェアの手入れの手順を詳しくみていきましょう。
レインウェアの洗濯方法
まずは洗濯方法です。
レインウェアは素材によって、洗濯方法が異なる可能性があるので、ウェアについているタグやホームページなどを確認してみましょう。
今回は、レインウェアによく使用されているゴアテックスの手入れ方法について説明していきます。
そもそも、ゴアテックスのレインウェアって普通に洗濯しても大丈夫なの?と思われる方も多いと思います。
私も初めは防水機能が損なわれそうだなと思い、ためらっていたのですが、実は積極的に洗濯した方がいいのです。
実際に、ゴアテックスのホームページでも頻繁に洗濯することが推奨されています。
「汚れ、キャンプファイヤーの煙、調理臭などの不純物を除去するため頻繁に衣服を洗ってください。 衣服の洗浄、乾燥、熱処理は、GORE-TEX アウターウェアの耐久撥水(DWR)を回復するのに役立ちます。」
引用:ゴアテックス
なぜ、洗濯することが推奨されているのか。
その理由は2つあります。
まず、1つ目の理由は「ゴアテックスメンブラン自体は、洗濯によって劣化しないから」です。
ゴアテックスの生地は、ゴアテックスメンブランを表生地と裏生地で挟みこむようにつくられています(2層の場合は、表生地のみ)。
ゴアテックスメンブランは「ePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)」という素材からできており、これが防水透湿の機能をもちます。
ゴアテックスメンブランは直接物理的な損傷がなければ経年劣化はほとんど起きないと言われています。
ですから、正しく洗濯すればゴアテックスメンブランの劣化は起きないと思われます(激しい手もみ洗いなどは損傷するのでダメです)。
2つ目の理由は、「表生地や裏生地の汚れをとることで、撥水性と透湿性が保たれるから」です。
ゴアテックス製品の表生地には「耐久撥水加工(DWR)」が施されています。
具体的には、表面に「撥水基」と呼ばれる構造があり、これが水をはじく作用をもちます。
この撥水基に汚れがついていた場合、うまく水をはじくことができなくなります。
ですから、洗濯によって撥水基についた汚れを取り除いてやる必要があります。
なお、「耐久撥水加工(DWR)」は洗濯によって劣化することはほとんどありません。
また、ゴアテックス製品は気体となった汗を外に排出することで透湿性を保っているのですが、表生地や裏生地に汚れがついていた場合、うまく透湿されず服の中が蒸れることがあります。
汚れを落とすことで、撥水性と透湿性が保たれます。
この2つの理由から、ゴアテックスのレインウェアは積極的に洗濯することが推奨されているのです。
実際の洗濯手順は、次の通りです。
「ステップ1
製品についている洗濯表示を確認し、必ずその内容に従ってください。
すべてのファスナーとポケットを完全に閉じてください。
緩んだフラップやストラップはしっかりと留めてください。
ステップ2
洗剤は、衣料用液体洗剤を少なめに使用してください。
粉末洗剤、漂白剤、柔軟剤、しみ抜き剤の使用は避けてください。
洗濯機に入れて、40℃以下のぬるま湯で洗濯してください。
すすぎは2回以上しっかりと、脱水は短時間で軽く行ってください。
ポイントはよくすすぐこと。洗剤を生地に残さないようにしてください。」引用:上記ゴアテックスHP
ポイントとしては、
- 生地が傷まないようにネットに入れること。(これは私の考え)
- 洗剤は少なめに使用すること。
- 粉末洗剤、漂白剤、柔軟剤、しみ抜き剤の使用は避けること。
- すすぎはしっかり。脱水は短くすること。
洗剤は、基本的には漂白剤や柔軟剤が入っていない液体洗剤であれば大丈夫ですが、気になる人は、登山用ウェア専門の洗剤をしてみてもよいでしょう。
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レインウェアの乾燥方法
次に乾燥方法です。
乾燥は日陰で吊干しでしっかり乾かします。
直射日光を当てると劣化が進むので、日陰で干すのがポイントです。
陰干しではなく、乾燥機を使用する方法も推奨されています。
ただし、乾燥機を使用する場合には、高温ではなく「中温」で乾かすようにしましょう。
レインウェアの撥水回復
ゴアテックスのレインウェアについては、撥水性が落ちてきたなと思ったら、撥水性を回復させる方法があります。
さきほど説明したように、ゴアテックス製のレインウェアは表生地の表面に「撥水基」と呼ばれる構造があり、この撥水基によって水がはじかれます。
「撥水基」は熱を加えることによって、元通り整列し、撥水性が回復します。
熱を加える方法は「乾燥機」または「アイロン」です(ゴアテックスでも一部の商品では、熱処理を行ってはいけない商品があります)。
乾燥機の場合は、乾燥した後さらに20分間中温で温風乾燥します。
アイロンの場合は、低温、スチームなしの設定で、当て布をしてアイロンをかけるようにします。
もし、熱処理をしても撥水性があまり回復しない場合は、撥水剤、撥水スプレーを使用してみましょう。
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レインウェアの保管方法
最後に保管方法です。
保管方法は、風通しのよい場所でハンガーなどに吊った状態で保管しましょう。
風通しの悪い場所で畳んで収納していると、水分が残っていた場合、カビなどが発生し機能低下を招く可能性があります。
まとめ
今回は、登山用レインウェア手入れ(洗濯から収納まで)を解説しました。
本日のまとめです。
- 登山用レインウェア手入れの順番は、①洗濯→②乾燥→③撥水回復→④保管
- すべての登山道具の手入れの基本は「しっかり汚れを落とす」、「乾燥させる」の2つ。
- ゴアテックスのレインウェアは使用する度に洗うのがよい。
- 洗濯は、粉末洗剤、漂白剤、柔軟剤、しみ抜き剤の使用は避けること。すすぎはしっかり。脱水は短くすること。
- 乾燥は陰干し、または乾燥機を使用。
- ゴアテックスのレインウェアは熱処理によって撥水回復する。熱処理の方法は乾燥機かアイロン。
- 風通しのよい場所でハンガーなどに吊った状態で保管。
せっかく買ったレインウェアは正しく手入れして長く使いたいですね。