ゴアテックスってよく聞くけど、結局どういうものかよく分からない。
ゴアテックスの登山用レインウェアをすすめられたけど何がいいんだろう?
そう思う方も多いはず。
登山用レインウェアは、登山の「三種の神器」の1つにも数えられるほど重要なアイテムなので、きちんと機能性を理解して購入したいですよね。
今回は、ゴアテックスとは何か、そしてゴアテックスの種類と機能を解説していきたいと思います。
これを読めば、ゴアテックスの基本が理解できます。
ゴアテックスってそもそも何?
そもそも「ゴア」というのは、会社名です。
正確には「W. L. Gore & Associates, Inc.」(以下、ゴア社)といい、1958年にアメリカで設立されました。
創業者は、ウィルバート・L(ビル)・ゴアとジュネヴィーヴ(ヴィーヴ)・ゴアで、会社名は創業者の名前からとられています。
そして、「ゴアテックス」というのは、このゴア社が開発した防湿透湿性素材のことです。
そのゴアテックの中でも中核となるのが「ePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)」とよばれる素材。
PTFEはデュポン社によって発見されたフッ素樹脂で、「テフロン」という商品名でフライパンなどにもよく使用されています。
ゴア社はこのPTFEを使って、事業を拡大していましたが、創業者の息子ボブは、このPTFEを延伸できれば、さらに低コストで軽量・柔軟になり用途が広がると考えていました。試行錯誤して延伸しようとしますが、うまくいかないボブはいらだち思いきり引っ張ったところ、なんと元の10倍にまで伸びました。
こうして、ゴアテックスの核となる素材「ePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)」は偶然生まれることになります。
参考:ゴアのテクノロジー
ゴアテックスの機能性
ゴアテックスがもつ最大の機能は「防水性」と「透湿性」です。
「防水性」は服の外側から内側へ入ってくる水の流れを防ぐ機能で、「透湿性」は服の内側に発生する水蒸気を外へ排出する機能です。
どうして、「防水性」と「透湿性」を両立できるのかというと、その秘密はゴアテックスのもつ無数の孔にあります。
ゴアテックスメンブレンは、1平方センチメートルに約14億個もの微細な孔(0.2ミクロン)を持ちます。
そして、この微細な孔は、水滴は通しませんが、水蒸気は通すことができます。
※孔の大きさは、水滴の20,000分の1、蒸気分子の700倍以上。
参考:ゴアテックスメンブレン
また、ゴアテックスのもう一つの大きな機能として「防風性」があります。
実際には微細な孔は空いているので空気は通るのですが、空気のかたまりが微細な孔によって分散されるので、ダイレクトに風が身体にあたるのを防いでくれるということのようです。
ゴアテックスは、3層または2層のものがあります。
ゴアテックスメンブレンを表地と裏地で挟んだものが3層、表地のみ重ねたものが2層となります。
3層のメリットとしては裏地があるので着心地がよく耐久性があること、2層のメリットとしては裏地がない分、軽量コンパクト化できるということが挙げられます。
ゴアテックスの種類
それでは、ゴアテックスにはどのような種類があるのでしょうか。
ゴアテックスは大きく「防水性」と「非防水性」の2つのプロダクトシリーズに分けられます。
「防水性」のGORE-TEXプロダクトは従来からある製品で、当社の厳しい製品テストをクリアした保証付きの防水性のものになります。
一方で、「非防水性」のGORE-TEX INFINIUM プロダクトは比較的新しくつくられた製品で、撥水性は備わっているものの防水性は保証されていません。
防風性や透湿性が優れているので、ドライな環境でウインドシェルのような使い方が適していると思われます。
[防水性]
GORE-TEXプロダクト |
[非防水性]
GORE-TEX INFINIUM |
||||
GORE-TEX | GORE-TEX PRO | GORE-TEX ACTIVE | GORE-TEX SHAKEDRY | GORE-TEX INFINIUM | |
特徴 | 確かな快適さと防護性 | 進化したテクノロジー | 卓越した透湿性と超軽量性 | 最も優れた透湿性と軽量性、そしてユニークな撥水性 | ユニークな撥水性と高い防風性 |
機能 | ・耐久防水性 ・優れた透湿性 ・高い防風性 ・インサレーション(一部) |
・防水耐久性 ・極めて優れた透湿性 ・高い防風性 ・優れた耐久性 ・ストレッチ性(一部) |
・極めて優れた透湿性 ・軽量性 ・耐久防水性 ・高い防風性 |
・撥水性 ・軽量性 ・極めて優れた透湿性 ・耐久防水性 ・高い防風性 |
・撥水性 ・高い防風性 ・極めてすぐれた透湿性 ・インサレーション(一部) |
アクティビティ | ・ライフスタイル ・ゴルフ ・キャンプ ・ハンティング ・ハイキング ・スキー&スノーボード ・アドベンチャー旅行 |
・登山 ・クライミング ・フリーライディング ・アイスクライミング |
・マウンテンバイク ・ハイキング ・サイクリング ・ランニング ・スキーツーリング ・登山 |
・ライフスタイル ・ハイキング ・ゴルフ ・ランニング ・サイクリング |
・ライフスタイル ・ハイキング ・サイクリング ・ランニング ・トレイルランニング |
参考:上記ゴアテックスホームページ
これから登山やハイキングを始めようとされる方は、スタンダードで汎用性の高い「GORE-TEX」の製品をおすすめします。
より標高の高いところや寒冷な環境に行く場合は「GORE-TEX PRO」、活動量が多く軽量コンパクトな製品がよければ「GORE-TEX ACTIVE」または「GORE-TEX SHAKEDRY」を選ぶのがいいと思います。
ゴアテックスを使用した登山用レインウェア
それぞれのゴアテックスには、どのようなウェアがあるのでしょうか。
1つずつ代表的なウェアを紹介していきたいと思います。
△GORE-TEX
△GORE-TEX PRO
△GORE-TEX ACTIVE
△GORE-TEX SHAKEDRY
△GORE-TEX INFINIUM
ゴアテックス以外の防水透湿性素材
ゴアテックス以外にも防水透湿性素材はあるのでしょうか。
ゴアテックス以外にも各社がさまざまな防水透湿性素材を開発しており、それぞれ高い防水性と透湿性をもちます。
素材名 | メーカー | 原料 | 防水性/耐水圧 | 透湿性 | 防風性 | 特記 |
PERTEX | 三井物産 | ナイロン | ― | ― | ― | ― |
eVent | eVent社 | ePTFE | 30 meters waterproof | 15,000 – 25,000 g/m2/24 H JIS L 1099 B2 RET:3 – 5 M²PA/W |
― | ― |
HYVENT | ノースフェイス | ePTFE | ― | ― | ― | ― |
dri | ノローナ | ― | ― | ― | ― | ― |
エバーブレス | ファイントラック | ポリカーボネート系ポリウレタン | 20,000mm以上 | 10,000g/m2・24hr(A-1法) | あり | ― |
HELLYTECH professional | ヘリーハンセン | ― | 20,000mm以上 | 20,000g/m2・24hr(B-1法) | あり | ― |
Mammut DRYtechnology | マムート | ― | ― | ― | ― | ― |
ベルグテックEX | ミズノ | ― | 30,000mm以上 | 16,000g/m2・24hr(B-1法) | ― | ― |
DRYEDGE TYPHON | ミレー | ― | 20,000mm以上 | 50,000g/m²/24h | ― | ― |
AQUA PRO LITE | ― | ― | 15,000mm | 15,000g/m2/24hrs | ― | ― |
ドライテック | モンベル | ポリウレタン | 20,000㎜以上 | 8,000~20,000g/㎡・24hrs(JIS L-1099B-1法) | あり | ― |
H2No | パタゴニア | ポリウレタン | ― | ― | ― | ― |
Hipe | ピークパフォーマンス | ― | Minimum 5,000 mm | 5,000 g/m2/24h | 防風性 100% | ― |
ドライQ | マウンテンハードウェア | ― | ― | ― | ― | ※ |
ネオシェル | ポーラテック | ポリウレタン | ― | ― | ― | 優秀なストレッチ |
※衣服内の湿度上昇を待たなくても、水を通さない極微細な孔を通して瞬時にムレを放出(ゴアテックスなどの素材は、服の内側と外側で温度差ができてから透湿が始まる)。
参考:各社ホームページ
防水性や透湿性、防風性などの具体的な数値を公表していないメーカーも多いので、一概には比較できませんが、ゴアテックス以外の素材も試してみたい方はこれらの素材に挑戦してみてもいいかもしれません。
まとめ
今回は、ゴアテックスとは何か、そしてゴアテックスの種類と機能性を解説しました。
今日の内容をまとめてみます。
- ゴアテックスは、ゴア社が開発した防湿透湿性素材のこと。
- ゴアテックスがもつ最大の機能は「防水性」と「透湿性」、「防風性」。
- ゴアテックスは微細な孔を無数にもち、この微細な孔は水滴を通さないが、水蒸気は通すことができる。これにより「防水性」と「透湿性」を両立。
- ゴアテックスは大きく「防水性」と「非防水性」の2つのプロダクトシリーズに分けられる。
- これから登山やハイキングを始める場合は、スタンダードで汎用性の高い「GORE-TEX」の製品がおすすめ。
- ゴアテックス以外にも各社さまざまな防水透湿性素材を開発している。
ゴアテックスは、これまで数多くの商品に使用されており、アウトドアの活動で実績を築いてきた優秀な素材です。
迷ったら、まずはゴアテックスを試してみましょう。