レイヤリングとは?登山のレイヤリング方法の基本について解説!

レイヤリングってそもそもどういう意味?
登山でのレイヤリング方法がいまいち分からない…

 

登山はアウトドアでの活動なので、色々な気候条件にさらされます。
一日の中でも、汗をかいて暑くなるときもあれば、風が吹いて寒くなることもあります。
急な土砂降りに遭うことも珍しくありません。
そのような条件の中で安全・快適に過ごすためには、登山服の調整は欠かせません。

 

今回は、登山におけるレイヤリングの基本について解説していきます。

 

レイヤリングとは

そもそもレイヤリングとは何を意味するのでしょうか。
英語で「レイヤー (layer)」 は「層」を意味します。
そして、「レイヤリング(layering)」は、この層を積み重ねるという意味があります。

 

登山やハイキングの場面で使われる「レイヤリング」は、「登山服の重ね着」を意味します。
登山やハイキングは長時間アウトドアで活動するため、一日の間にも気候条件が大きく変わります。
また、活動しているか休憩しているかによって、身体のコンディションもかなり違ってきます。

 

ですから、色んな条件に対応できるように、複数の衣類を重ね着して調整していく必要があります。

 

登山服の基本「3レイヤー」

登山の服装の基本として「3レイヤー」という考え方があります。
登山服は3つの層によって構成させるというものです。

 

「3レイヤー」は、肌に近い方から「ベースレイヤー」、「ミドルレイヤー」、「アウター(シェル)レイヤー」という風に呼ばれます。

「ベースレイヤー」、「ミドルレイヤー」、「アウター(シェル)レイヤー」は、それぞれ役割が異なります。

 

ベースレイヤー:汗を素早く吸水拡散し汗冷えを防ぐ役割。
ミドルレイヤー:ベースレイヤーが吸った汗を発散させ、保温性を確保する役割。
アウター(シェル)レイヤー:雨・風・雪などから体を守る役割。

レイヤリングの最大の目的は、「肌を濡れないようにすること」と「温度を保つこと」です。
肌が濡れる原因のほとんどが「汗」か「雨」です。
汗はすばやく吸って外に発散させ、雨はアウターで内側に入ってこないようにシャットアウトすることで、肌はドライに保たれます。
また、外からの風をブロックし、服の間に空気の層をつくることで温度が保たれます。

 

ベースレイヤー

ベースレイヤーは、汗を素早く吸水拡散し汗冷えを防ぐ役割をもちます。
肌に直接触れる衣類で、下着類やサポートタイツなどもここに含まれます。

夏用のベースレイヤー
冬用のベースレイヤー

ベースレイヤーによく用いられる素材は「化学繊維」もしくは「ウール」です。
「化学繊維」は速乾性、耐久性に優れており、「ウール」は吸湿性、保温性、消臭性に優れています。
どの機能性を重視したいかで選ぶとよいでしょう。
また、基本的に一日中ずっと着ている服になるので、着心地も重要です。

 

ミドルレイヤー

ミドルレイヤーは、ベースレイヤーが吸った汗を発散させ、保温性を確保する役割をもちます。
ミドルレイヤーは、3レイヤーの中でも最も種類が多い層です。
シャツやフリース、ウールセーター、インナーダウン、登山用パンツなどもここに含まれます。

ロングシャツ
フリース

ミドルレイヤーの素材は「化学繊維」、「ウール」、「ダウン」などこちらも多種多様です。
ミドルレイヤーを選ぶときに重要なのは、主に「行動中」か「休憩中」のどちらに着るのかを明確にすることです。
行動中に着るのであれば、汗を発散させる能力の高い服を、休憩中であればそれほど汗をかかないので保温力の高い服を選ぶ必要があります。

 

アウター(シェル)レイヤー

アウター(シェル)レイヤーは、雨・風・雪などから体を守る役割をもちます。
レインウェアやウインドシェルなどがこれに該当します。

ウインドブレーカー
レインウェア

 

素材としてはゴアテックスなどが幅広く使用されていて、防水性や防風性はもちろん、透湿性にも優れます。
レインウェアは防水性に優れている分、透湿性や着心地、軽さなどはウインドシェルに劣ることが多いです。
ですから、普段はウインドシェルを着て、雨が降ってきたらレインウェアに切り替えるという人も多いです。

 

レインウェアの選び方はこちらの記事を参考にしてください。

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手袋や靴下などにも応用されるレイヤリング

レイヤリングが必要となるのは、服やズボンだけではありません。
シチュエーションによっては、身体の末端にある手袋や靴下などにも応用されます。

 

実際に私も、ファイントラックの「スキンメッシュソックス5本指クルー」を使用しています。このソックスは、吸汗性のあるソックスの下に履くことで、足をドライに保ち、不快な濡れを軽減してくれます。

 

これより以前は足が蒸れて、マメができることが多かったのですが、これを使用し始めてからはドライな状態が保たれてそのようなトラブルもほとんどありません。

 

長時間に及ぶ登山や運動量の多いトレイルランニング、冬山登山などハードな活動をする場合は手袋や靴下などの末端のレイヤリングも工夫しましょう。

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「3レイヤー」のよくある間違い

最後に「3レイヤー」を実践しようとするときのよくある間違いを紹介します。

 

どんなに寒くても3枚しか登山服を準備しない

ひとつめは、「どんなに寒くても常に3枚しか登山服を準備しない」という間違いです。
「3レイヤー」というのは、機能の異なる衣服が3層で構成されるという考え方であって、必ずしも3枚でなければいけないということではありません。
必要であれば、薄手のミドルレイヤー(シャツ)の上に、厚手のミドルレイヤー(インナーダウン)を羽織ることもあります。
また、薄手のウインドシェルのうえに、レインウェアを着ることもあります。
大事なのは、その服の持つ役割が「3レイヤー」のどれにあてはまるかを考え、ベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウターレイヤーという順に重ねていくことです。

 

常に3レイヤーを着ていなければいけない

次は、「常に3レイヤーを着ていなければいけない」という間違いです。
レイヤリングの最大の目的は、「肌を濡れないようにすること」と「温度を保つこと」でした。
この目的が達成できるのであれば、常に3レイヤーを保つ必要はなく、1レイヤーでも2レイヤーでもよいわけです。

 

例えば、夏の暑い日は大量の汗をかくので、ミドルレイヤーとアウターレイヤーを着ていては熱がこもってしまい、汗がすばやく処理できなくなってしまいます。
ですから、夏場はベースレイヤーのみで歩く人がほとんどです。

 

これは夏場だけとはかぎりません。
春秋の昼間や、冬の低山などでも歩いていると体温が上がってくることはよくあります。
そのような場合もミドルレイヤーもしくはアウターレイヤーを状況に合わせて脱いでしまえばいいのです。

 

重要なのは、3レイヤーを保つことではなく、「肌を濡れないようにすること」と「温度を保つこと」です。
この2つをこころがけて服を調整すれば、安全で快適なハイキングができます。

 

3レイヤーをさらに発展させた「5レイヤリング」

ファイントラックという国内メーカーでは、3レイヤーをさらに発展させた「5レイヤリング」という考えのもと商品づくりを行っています。

 

基本的な考え方は、3レイヤーをベースとしていますが、「ベースレイヤー」と「アウター(シェル)レイヤー」をそれぞれさらに2つにわけて、全部で5レイヤーとしています。

ファイントラックの5レイヤリング。それはドライレイヤー、ベースレイヤー、ミッドレイヤー、ミッドシェル、アウターシェルの5…

 

これによって、汗をよりすばやく吸水発散し、さらに外部からの雨の侵入も強固なものにしています。
私もファイントラックの「ドライレイヤー」と「ベースレイヤー」を組み合わせて使っています。
ベースレイヤー1枚のときよりも汗の吸水発散がよりスムーズに行われる感覚があります。

ドライレイヤー
ドライレイヤー+ベースレイヤー

 

まとめ

今回は、登山におけるレイヤリングの基本について解説しました。
まとめに移ります。

 

・登山やハイキングの場面で使われる「レイヤリング」とは、「登山服の重ね着」を意味する。
・登山の服装の基本として「3レイヤー」という考え方がある。「3レイヤー」は、肌に近い方から「ベースレイヤー」、「ミドルレイヤー」、「アウター(シェル)レイヤー」と呼ばれる。
・「3レイヤー」はそれぞれ役割が異なる。
ベースレイヤー:汗を素早く吸水拡散し汗冷えを防ぐ役割。
ミドルレイヤー:ベースレイヤーが吸った汗を発散させ、保温性を確保する役割。
アウター(シェル)レイヤー:雨・風・雪などから体を守る役割。
・レイヤリングは、手袋や靴下などにも応用される。
・重要なのは、3レイヤーを保つことではなく、「肌を濡れないようにすること」と「温度を保つこと」。

 

レイヤリングの基本をおさえておけば、登山服を選ぶときに目的をもって買うことができ、効率よく登山服をそろえることができます。

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