登山用レインウェアの選び方を徹底解説!機能とサイズ、色を決める基準は?

  • 2020年10月17日
  • 2020年11月2日
  • 登山服
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登山をはじめるとき、必ず経験者に言われるのが「レインウェアは持ってる?」という言葉。
お店に行ってはみたものの、各メーカーのレインウェアがずらりと並んでいて、違いが全く分からない。
とりあえずお店の人に聞いて、いくつかおすすめを持ってきてもらったけど、やっぱり何が違うのかよく分からない。
高い買い物だから、色やデザインだけで選ぶのも気が引けるし…。

 

レインウェアは、登山道具の「3種の神器」の1つに挙げられていて、登山やハイキングをするうえでとても重要なアイテムです。
雨風による低体温症から身を守ってくれるものなので、特に慎重に選んでいく必要があります。

 

今回は、登山用レインウェアの選び方を説明していきたいと思います。
これを読めば、選び方の基準が理解でき、自分にぴったりな一着を見つけられるはずです。

 

登山用レインウェアの選び方(順番)

登山用レインウェアの選び方は、「雨具の種類」→「重視する機能」→「メーカー」→「サイズ」→「色」の順で決めていくと、よりスムーズに選べます。

登山用レインウェアを選ぶ順番

雨具の種類は?

まずは「雨具の種類」を選んでいきます。

登山やハイキングをする上で、雨をふせぐアイテムはレインウェアだけとは限りません。
また、レインウェアが必ずしも最適とも言えません。
登山やハイキング中に使われる雨具は、次のようなものがあります。

 

  • レインコート・ポンチョ
  • レインウェア
  • ハードシェル

傘はハイキングなどで意外と役立つ場面がありますし、ハイキング専用の傘も販売されています。
片手がふさがるので、使用できる場面は限られていますが、シチュエーションによっては重宝します。
傘の最大のメリットは、すばやく準備できることと蒸れないことです。
傘だけでは雨風を防ぐのに不十分なので、レインウェアなどと併用し、あくまで補助的な役割と考えましょう。

 

レインコート・ポンチョ

これも意外に思われるかもしれませんが、使用している人は一定数います。
足元が濡れてしまうことや、強い風がふく状況では使えないことから、こちらも使用できる場面は限られています。
ズボン部分がないので軽量化できることと蒸れにくいこと、比較的着脱が簡単なことがメリットです。

 

レインウェア

登山やハイキングで使用する雨具としては、最も一般的です。
上下セパレートになっていて、全身を雨風から守ってくれるのでどんな場面でも安心感があります。
傘やポンチョに比べれば、すこし重くなりますが、最近では軽量モデルも多く販売されています。
デメリットとしては着脱に少し時間がかかります。

 

ハードシェル

主に積雪地帯で使用されるシェルです。
レインウェアは温暖な環境で雨が降ったときに使用するものですが、ハードシェルは常に着用するのが基本です。
ハードシェルは寒気が入り込まないための工夫がなされていて、寒冷な気候に対応できるようになっています。
雨はもちろん寒さ対策は万全ですが、その分重くかさばります。

雨具の種類とメリットデメリット

登山のシチュエーションとそれぞれの状況に適した雨具

それでは、上で説明した雨具はどのようにシチュエーションに適しているのでしょうか。
登山のシチュエーションとそれぞれの状況に適した雨具を図で示します。

シチュエーション別に適した雨具

参考:株式会社山と道. “山と道ラボ【レインウェア編】#2レインウェア・マーケット分析”. 山と道. 2017-11-24. https://www.yamatomichi.com/journals/4228/, (参照 2020-10-17)

 

「傘」と「ポンチョ・レインコート」は、防水性が完全ではなく足元が濡れるため、無雪期にしか使用できません。
また、風がふけば機能しなくなるため、風が強くふく稜線上で使用するのは難しいです。
さらに、樹林帯では足元がぬかるんでいることもあるし、トレッキングポールを使ったりすることも多いので、ここでの使用も難しいでしょう。
一方で、着脱が楽で蒸れにくいので、比較的整備された里山トレイルや、舗装路などでは有効に使用できそうです。

 

「レインウェア」は使用できる場面は広いです
積雪の場面以外であれば、ほとんどの状況で使えます。
積雪地帯以外であれば、初心者の方はレインウェアを選んでおけば間違いありません。

 

積雪地帯では、雨のほかに雪や風から常に身を守る必要があるので「ハードシェル」の一択です。

 

登山用レインウェアの機能

「雨具の種類」が決まったら、次は「重視する機能」について見ていきます。

登山用レインウェアに求められる必須の機能は「防水性」「透湿性」です。
この2つの機能は最低限必要になります。

 

防水性

防水性能を表す単位として、耐水圧というものがあります。
耐水圧の単位はmmで表され、数値が高いほど防水性は高いです。
一般的に登山用レインウェアに必要な耐水圧は「20,000mm以上」と言われることが多いです。

 

「一般的にレインウェアを選ぶ目安として、小雨や小雪をしのぐ程度であれば5,000mm、スキーやゴルフは雨・雪に風も加わるので最低10,000mm、登山は命に関わるので20,000mm以上が必要と言われています。」
引用:ウェザーニュース

 

 

透湿性

レインウェアは「防水性」と同じくらい「透湿性」も重要です。
透湿性とは、蒸気の状態となった汗を生地の外に逃がす性質のことで、服の中のムレを防ぎます。
以前に透湿性の低いレインウェアで登山をしたとき、たしかに雨は防ぐことができたのですが、中が蒸れて服や肌が濡れて寒い思いをしたことがあります。

 

透湿性の単位は一般的に「g/m2/24h」で表され、これは24時間で、1 m2の生地がどのくらいの量の水分(g)を排出できるかということを示しています。
所説ありますが、登山用レインウェアに必要な透湿性は「12,000g/m2/24h以上」と言われています。(参考:元山岳部部長の登山講座
ただ、これは比較的行動量の多い登山の場合で、ゆったり数時間歩くハイキングであれば、もう少し低くても大丈夫です。

 

登山用レインウェアに求められる必須の機能は「防水性」と「透湿性」ですが、シチュエーションによっては他の機能が求められることがあります。
「防風性・耐久性」、「軽量・コンパクト性」、「動きやすさ」などです。
「耐水圧」「透湿性」「防風性・耐久性」「軽量・コンパクト性」「動きやすさ」の5つの機能について、それぞれ次のような基準で評価しました。

登山用レインウェアに求められる5つの機能性評価

※透湿性はA-1法、 B-1法、RET法の3つの試験法がある。
同じ製品でA-1法とB-1法を両方測ったものがあったので、それを参考にした(参考:山と道ホームページ)。
A-1法11280g/㎡/day = B-1法20000g/㎡/day
また、 B-1法とRET法を比較したサイトがあったので、そちらも参考にした(参考:やじり鳥)。
※生地の厚さは、表生地のみを対象とした。

 

下に、シチュエーション別(無雪期)に求められる登山用レインウェアの機能をまとめてみました。
「耐水性」、「透湿性」、「防風性・耐久性」、「軽量・コンパクト性」、「ストレッチ性」の5つの機能について示していきます。

まず、ゆったりハイキングでは、「防水性」と「透湿性」が備わっていれば大丈夫です。

日帰り登山で2000m~3000m級の山の稜線を歩く場合は、風が強いのでより「防水性」と「防風性」の高いモデルがいいでしょう。
また樹林帯や稜線の岩場などで、レインウェアが木や岩に引っかかる場面もあるので、ある程度の耐久性も必要です。

ロングトレイルや縦走は、荷物が重くなり、服にかかる水圧が高まるため、より高い「耐水圧」が必要になります。
1日の活動時間が長く汗の量が増えるので、より高い「透湿性」が求められます。
また荷物をより軽くしておきたいので「軽量・コンパクト性」が欲しいところです。
そして、2000m~3000m級の山の稜線をいく場合は、同様に「防水性」と「防風性」の高いモデルがいいです。

トレランも同じく行動負荷が大きいので、高い「透湿性」が必要になります。
また極力荷物を少なくしたいので、「軽量・コンパクト性」が重要です。

このように、高山などの環境がより厳しいところや、活動量が多い状況では、求められる機能も多くなっていきます。

 

登山用レインウェアのメーカーの選び方

必要な機能が明らかになったら、次はその機能を満たすメーカー・商品を選んでいきましょう。

【国内】

  • mont-bell(モンベル)
  • finetrack(ファイントラック)
  • POLEWARDS(ポールワーズ)
  • Teton Bros.(ティートンブロス)

 

【海外】

  • ARC‘TERYX(アークテリクス)
  • Black Diamond(ブラックダイヤモンド)
  • Columbia(コロンビア)
  • HAGLOFS(ホグロフス)
  • MAMMUT(マムート)
  • Marmot(マーモット)
  • MOUTAIN HARD WEAR(マウンテンハードウェア)
  • NORRØNA(ノローナ)
  • patagonia(パタゴニア)
  • PeakPerformance(ピークパフォーマンス)
  • Sherpa ADVENTURE GEAR(シェルパ・アドベンチャーギア
  • THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)

 

ここで紹介したメーカーの登山用レインウェアは、フィールドで十分機能し安心して使えるので、実際にどのメーカーを選んでも問題ないと思います。
もし、メーカーが多くて迷った場合は、国内メーカーから注目してみるといいと思います。
日本人の体形に合わせてつくられていますし、レインウェアのラインナップの豊富さは世界の中でもトップレベルと言われているからです。

 

「日本のレインウェアは、種類とサイズの豊富さにかけては世界一のレベルといえる。
たとえば、国内最大手のモンベルでは、3種類の素材を使い分け、軽量なものから耐久性を重視したものまで10モデルをラインアップしている。これだけの数のレインウェアを製品化するのは、同社が降雨量の多い日本を本拠点とする会社であり、世界一の雨具会社として自負しているからに他ならない。」
引用:ホーボージュンら, 『山岳大全シリーズ① 山岳装備大全』, 株式会社山と溪谷社, 2011年, p.79.

 

登山用レインウェアのサイズの選び方

レインウェアは、ジャストフィットより少し大きめをセレクトするのがベターです。
レインウェアは一番上に着るので、何枚か着込んでいる冬の場合、ジャストフィットだと窮屈で動きにくくなってしまいます。
また、すこしゆとりを持たせることでレインウェア内の換気をスムーズにし、ムレを防ぐこともできません。
ただ大きすぎるのもよくありません。
風が強く吹く稜線上などでは、レインウェアが風でばたつき転倒の危険性もあります。
「ジャストフィットより少し大きめ」がポイントです。

 

登山用レインウェアの色の選び方

基本的には、発色のよい明るく目立つ色をおすすめします。
理由は、次の通りです。

 

  • 悪天候時に仲間を見つけやすいため。
  • 遭難時に発見されやすいため。
  • ハンターに動物と間違えられにくいため。

 

登山用レインウェアが赤や黄色、青など発色のよい明るく目立つ色が多いのは、上のような理由があるからです。
ですから、特に色にこだわりがなければ明るい色を選ぶとよいと思います。
一方、黒白灰色などのモノトーンは、自然の中で入ると見つけくい色なので、トラブルに陥る可能性が高まります。

 

しかし、アウトドアウェアで男性に人気の色は、「黒」。
明るい色は街に下りると目立ちますが、黒などのモノトーンだと街でも違和感なく溶け込むことができるので、わたし自身も黒のウェアを好んで着ています。
どうしても、黒などのモノトーンを着たい人は、ザックやザックカバーなど何でもいいので、どこかに明るく目立つ色を入れるようにしましょう。

 

まとめ

今回は、登山用レインウェアの選び方を説明しました。
今回の内容をまとめてみます。

 

  • 登山用レインウェアは、「雨具の種類」→「重視する機能」→「メーカー」→「サイズ」→「色」の順で決めていく。
  • 雨具は、初心者の方はレインウェアを選ぶ(積雪地帯以外)。
  • 登山用レインウェアに求められる必須の機能は「防水性」と「透湿性」。
  • 状況によっては、「防水性」と「透湿性」以外に求められる機能がある。
  • メーカーが多くて迷った場合は、国内メーカーから注目する。
  • レインウェアは、ジャストフィットより少し大きめをセレクトする。
  • 発色のよい明るく目立つ色がおすすめ。

 

レインウェアは、雨や寒さから身を守ってくれる大切なアイテムです。
また、高価なものなので、いろいろと見比べて、納得のいく一着をみつけましょう。

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