登山用靴下の重ね履き

登山用靴下の重ね履きはあり?蒸れが気になる場合はインナー履くのあり!

  • 2020年9月21日
  • 2020年9月21日
  • 登山服
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登山用靴下の重ね履き

「登山用靴下は重ね履きするのがいいよ。」
登山を始めたとき、そう教えてもらったことないですか?

 

たしかに登山用品店にはインナー用の靴下が売っているけど、周りの登山仲間に聞くと、重ね履きをしている人はあまり多くはない。
本当のところ登山用靴下は重ね履きした方がいいのかどうか、迷ってしまいますよね。

 

今回は、登山用靴下の重ね履きはあり?なし?について解説していきたいと思います。

 

昔は登山用靴下の重ね履きが主流

一昔前は、登山用靴下の重ね履きがポピュラーでした。
これは、登山靴の多くがオールレザーで作られていて、硬いつくりだったため、靴ずれを防止する目的がありました。

 

靴ずれというのは、靴を地肌との間に摩擦が生じることでおきますが、靴下を2枚履くことでそのズレを直接皮膚に伝わらないようにすることができます(参考:ホーボージュンら, 『山岳大全シリーズ① 山岳装備大全』, 株式会社山と溪谷社, 2011年, p.108-111.)。

 

しかし、現在の登山靴はパーツによって素材が変えられており、重登山靴でも足を入れる空間は比較的やわらかい作りになっています。
また、靴下自体の進化もかなり進んでいて、クッション性を高めることで靴ずれを生じさせないようになっています。靴ずれが発生しやすいかかとやアキレス腱の部分にプロテクターが組み込まれているモデルもあるほどです。

 

そのような理由から、現在は重ね履きをしないのが主流になってきているようです(シチュエーションにもよりますが)。

登山用靴下の重ね履き今と昔

 

重ね履きが効果的なシチュエーションとは?

では、現在売られているインナーソックスは、どういう目的をもっているのでしょうか?
登山用靴下の主な役割は、下の5つです。

登山用靴下の役割

ひと昔前の重ね履きの目的は「靴ずれ防止」でしたが、現在の重ね履きの目的は「吸汗発散の促進」にあると考えます。
実際に、インナーソックスの多くが「吸汗発散の促進」を主な機能として挙げているからです。

 

例えば、ファイントラックというメーカーは「ドライレイヤー®ソックス」というインナーソックスを販売しています。
ドライレイヤーのメッシュ孔から吸い上げられた汗は、ドライレイヤーの上に履かれたベースのソックスに吸われ発散されます。
ドライレイヤーの表面は疎水性で、一度吸い上げられた汗が肌に逆戻りすることがないため、肌がドライな状態を保てるというわけです。
ドライレイヤーで重ね履きした場合、ソックス単体着用時に比べ約4割水分増加率が軽減したというデータもあります
(参考:株式会社finetrack. “ソックスレイヤリング”.ファイントラック. https://www.finetrack.com/products/socks/, (参照 2020-09-13))。

 

靴の中の蒸れが気になる人には、登山用靴下の重ね履きを試してみるのはありです。

 

登山用靴下のインナーのラインナップ

登山用靴下のインナーをいくつか紹介します。

 

ファイントラック/スキンメッシュソックス5本指クルー

「吸汗性のあるソックスの下に履くことで、足をドライに保ち、不快な濡れを軽減するドライレイヤー®ソックスです。」
引用:スキンメッシュソックス5本指クルー

ファイントラックは、ウエアと同様にソックスのレイヤリングシステムも考案しました。運動中は常に発汗し、外からの水の侵入も受…

さきほど紹介した「ドライレイヤー®ソックス」シリーズの1つです。
これは私も使用しています。

 

インジンジ/ライナークルー

「5本指ソックスでは並ぶブランドがない程、世界で圧倒的なシェアを誇る5本指ソックス専門メーカー「インジンジ」。」
引用:インジンジ

そんなインジンジが、マメ予防や吸水速乾機能を手に入れたい人にすすめているのが「ライナークルー」。
優れた吸水速乾能力と耐久性を備えた「クールマックス」という素材が使用されています。
今一番使ってみたいソックスです。

 

モンベル/サポーテック アンダーハイソックス

「最適な圧力で脚をサポートするアンダーハイソックスです。シームレス設計なので、長時間着用しても自然なフィット感が得られ、通気性・吸水速乾性・制菌効果にも優れ、汗をかいても快適です。」
引用:モンベル

 

「サポーテック アンダーハイソックス」はサポート機能がメイン靴下ですが、吸水速乾性を備えています。
上に履く靴下にサポート機能がついていない場合に試してみたい靴下です。

 

キャラバン/RLメリノ・5本指インナー

「天然の抗菌防臭作用があるメリノウールを使ったインナーソックスです。」
引用:キャラバン

メリノウールは吸湿性(気体となった汗を吸い取る性質)、保温性、消臭性に優れていると言われています。
これらの機能が欲しい人には有効だと思います。
しかし、速乾性に関しては、化学繊維の方が一般的には優れていると言われているので、多量の汗をかくシチュエーション以外で使うのがいいかも。

 

 

ネットを見ると、下のような靴下をインナーとして使っている人もいます。

itoix(イトイテックス)/ランニングソックス 5本指 セミロング
C3fit/ペーパーファイバー5フィンガーソックス

「itoix(イトイテックス)/ランニングソックス 5本指 セミロング」はマニラ麻、「C3fit/ペーパーファイバー5フィンガーソックス」は紙の繊維が使用されていて、いずれも速乾性に優れています。
ただ、これらの靴下は「インナー用」とは表記されていないので、実際に重ね履きに有効かは分かりません。

 

重ね履きの「吸汗発散」の効果は?

では、重ね履きの「吸汗発散」の効果を実際に確かめてみましょう。
インナーとして使用するのは、「ファイントラック/スキンメッシュソックス5本指クルー」。

右足は重ね履きで、左足は1枚履きでウォーキングをしてみます。

 

右足:下「ファイントラック/スキンメッシュソックス5本指クルー」
上「ファイントラック/メリノスピンソックス5本指クルー」
左足:「ファイントラック/メリノスピンソックス5本指クルー」のみ

まずは2時間ほどのウォーキング後に比較してみました。
少し汗ばむ程度だったのですが、脱いでみると左右とも足裏はさらさら。
肌はドライに保たれていました。

 

次に、1時間ほどのランニング後に比較してみました。
結構汗をかく状況でしたが、脱いでみると左右とも足裏が汗で濡れているようなことはありませんでした。

 

上記の運動量であれば、インナーの効果を示すことができませんでしたが、もっと暑くて運動量が多い場合や、長い時間汗をかき続ける状況であれば、よりインナーの有効性が示せたかもしれません。

 

重ね履するときの注意点

重ね履きをするときには、2点注意しなければいけません。

 

サイズ選びに注意

登山用靴下は基本的にジャストサイズを選ぶようにします。
大きすぎるものを選んだ場合は、肌と触れ合う面積が減って吸汗発散の効果は減るでしょうし、靴ずれの原因になるかもしれません。
逆に、小さすぎるものを選んだ場合は、血行不良を起こしてしまい、体温が保てなくなる可能性があるからです。

 

重ね履きしたときは、2枚の靴下を重ねるので特に血流が悪くならないように注意しましょう。
重ね履きしてきついと感じるときは、インナーはジャストサイズで、上に履く靴下をワンサイズ大きくしましょう。

 

素材選びに注意

素材選びにも注意が必要です。
アクリルやポリエステルのソックスを重ねると中で滑りやすく、下りのときにつま先を痛めやすいので注意が必要です
(参考:ホーボージュンら, 『山岳大全シリーズ① 山岳装備大全』, 株式会社山と溪谷社, 2011年, p.108-111.)。

 

今回紹介したインナーソックスもポリエステルなどの化学繊維が使われているので、上には履く靴下はメリノウール製のものがいいでしょう。
実際に、ファイントラックのスキンメッシュソックスは、メリノスピン®ソックスとレイヤリングすることで、双方の機能を最大限に高めることができると紹介されています。

 

まとめ

今回は、登山用靴下の重ね履きはあり?なし?について解説しました。
普段、重ね履きは特に必要ないですが、蒸れが気になる人や、より汗をスピーディーに処理したい人は、試してみる価値があると思います。
気になる人は、下の2つあたりを試してみてはいかがでしょうか。

 

△ファイントラック/スキンメッシュソックス5本指クルー
△インジンジ/ライナークルー

 

重ね履きは、血行不良や、靴の中で滑るなどのトラブルが発生することがあるので、サイズや素材は慎重に選びましょう。

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