登山やハイキングでは、キャップとハットどっちがいいんだろう?
アウトドアでは長時間紫外線に当たることも多いので、日光をさえぎる帽子は必須です。
しかし、帽子と一言で言っても、色んなタイプがありますよね。
キャップやハット、ニット帽など種類が多くて迷うこともあると思います。
今回は、登山やハイキングではキャップとハットどっちがいいのか、その答えと理由を説明していきます。
帽子の種類
帽子は大きく、「キャップ」、「ハット」、「ビーニー」の3種類に分かれます。
ビーニーは聞きなれない言葉かもしれませんが、ニット帽などがこれに該当します。
キャップ:一般的には前方のみにツバがついたものが主流であり、顔付近の日差しや雨を避けるのに有効。
ハット:頭部全体をツバがぐるりと囲んでいるタイプ。日差しを効率よく遮って、まぶしさを緩和させ、同時に日焼けの防止にもなる。
ビーニー:ツバがまったくなく、伸縮性が高い素材で頭部をぴったりと覆うヘッドウェア。主な用途は防寒であり、ウールや化学繊維の糸を用いたニットやフリースなど、保温力の高い素材が使われている。
参考:高橋庄太郎, 『山道具 選び方、使い方』, 株式会社枻(えい)出版社, 2013年. p294-p.295
それぞれの帽子がどのようなシチュエーションで使用されるのかを示した図です。
ビーニーは積雪期や残雪期、もしくは無雪期でも気温が低くて寒いときなどに使用されます。
キャップとハットは、無雪期の比較的暖かい時期に使用されることが多く、運動量の大きいトレランなどでは、走るのに邪魔にならないキャップが選択されます。
帽子の役割
帽子に求められる役割は、大きく4つあります。
防暑性(通気性)
帽子の役割として、「防暑性」があります。
頭や顔に直接日差しが当たらないように遮る役割です。
キャップは前方向、ハットは全方向にツバがあるのに対して、ビーニーはツバがありません。
また、ビーニーの主な用途は防寒であるため、通気性も高くありません。
防暑性(通気性)の高さは、ハット>キャップ>ビーニーとなります。
防寒性
次に「防寒性」です。
特に積雪期や残雪期に、寒さから頭部を守る役割を果たします。
ビーニーは、ニットやフリースなど、保温力の高い素材が使われているため、防寒性は高いです。
キャップやニットも耳当てなどをつけて防寒性を高めているタイプもありますが、一般的にはビーニーに劣ります。
防水性
つぎに「防水性」。
突然の雨が降ってきたときなどに、防水性があれば、帽子を濡らさずに済みます。
キャップやハットは撥水加工を施されているものが多く、中にはゴアテックスなどの防水素材を使ったものもあります。
ビーニーはニットやフリースなどの素材でできているため、防水性をもつものはあまりありません。
ケガの防止
帽子はケガなどから頭部を守る役割があります。
枝がとびだしてきたり、石が落ちきたりすることもあるので、「ケガの防止」は重要な役割です。
ビーニーはニットやフリースなどの素材でできているため、ある程度クッション性があり、その点ではよりケガを防止してくれる可能性があります。
それではここで、「キャップ」と「ハット」、「ビーニー」のメリット・デメリットをまとめてみます。
無雪期でキャップをおすすめする理由
積雪期や残雪期では、防寒上の問題で基本的に「ビーニー」が選択されます。
それでは、無雪期では、「キャップ」と「ハット」、「ビーニー」のどれがいいのでしょうか。
わたしは「キャップ」をおすすめします。
無雪期は、比較的温暖な気候を想定しています。
暖かい気候での登山やハイキングで最も求められる役割は、「防暑性(通気性)」と考えます。
ビーニーはツバがなく、ニットなどの保温性が高い素材を使用しているものが多いので、防暑性は期待できません。
ですから、無雪期では基本的に「キャップ」もしくは「ハット」のどちらかを選択することになります。
それでは、なぜ「ハット」ではなく「キャップ」をすすめるのか、理由は3つです。
①視認性が高い
「視認性」は、帽子をかぶったときに周囲が見える範囲がどれくらい広いかということです。
登山やハイキングでは周りの状況をよく確認しなければいけない状況も多いので、ある程度視野を確保しておくことが大切です。
前方のみにツバのあるキャップの方がハットと比較して、視認性は高いです。
ハットは頭部全体にツバがあるので、その分視界が狭くなります。
②フィット感が高い
頭部にどれだけフィットし、ずれないかということです。
ハットは頭部全体にツバがあるため、ツバが身体やものにあたったときずれやすくなります。また、風であおられたときに脱げやすいという点も挙げられます。
キャップはツバの部分が少ない分、ハットよりもフィット感は高いです。
③レインウェアとの相性がいい
キャップはかぶったまま、レインウェアのフードをかぶることができ、さらにツバの部分が雨除けになってくれます。
レインウェアとの相性がすごくいいのです。
一方、ハットは、フードをかぶることときにツバが邪魔になるので脱がなければいけません。
このような理由から、私はキャップを選択しています。
キャップよりもハットの方が優れている点を挙げるとすれば、それは「防暑性」です。
キャップは前方のみにツバがついているのに対して、ハットは頭部全体にツバがついているので、防暑性についてはハットの方が優れていると言えます。
この防暑性をどうカバーするかは、次の項で説明します。
キャップの弱点をどうカバーするか?
キャップはハットと比べればツバの面積が少ない分、紫外線にあたる部分は大きくなります。
それでは、紫外線にあたる部分を少しでも減らすために、どのような対策ができるでしょうか。
紫外線対策としては、4つ方法があります。
①日焼け止め
日焼け止めは、紫外線対策としては、最も一般的に使用されているかもしれません。
日焼け止めには種類があるので、登山やハイキングに適したものを使用する必要があります。
日焼け止めを買うときに、よく目にするのが「SPF」や「PA」という単語。
SPFとは、「Sun Protection Factor」の略で、UV−Bに対する防止効果を示すものです。SPFの数値は、日焼け止め化粧品を塗った場合、塗らない場合に比べて何倍の紫外線を当てると、翌日に肌がかすかに赤くなるかを示しています。SPFは2〜50、さらに50以上の場合は「50+」と表示され、数値が大きいほどその防止力が高まります。
PAとは、「Protection Grade of UVA」の略。こちらはUV-Aに対する防止効果を示すものです。PAは「PA+」〜「PA++++」の4段階で表示され、「+」が多いほど防止力が高まります。
(中略)
・屋外での軽いスポーツやレジャーの場合は SPF30以上、PA+++
・炎天下でのお出かけやマリンスポーツなどには SPF50以上、PA++++引用:kracie
登山やハイキングであれば、SPF30以上、PA+++は欲しいところです。
最近では、このようなスティックタイプあるようです。
登山やキャンプ、サーフィン、野外フェスティバル……など、まさに外遊び好きのために作られた日焼け止め「OUTDOOR U…
②サングラス
肌と同様に目も、紫外線からダメージを受けやすい部位です。
実はツバの広い帽子でも20%程度しか紫外線から目を守れないと言われています。
一方、顔にフィットしたサングラスであれば90%も紫外線から目を守ることができます。
参考:厚生労働省
サングラスはどのようなタイプの帽子をかぶるにしろ必須です。
③フェイスマスク
フェイスマスクも紫外線を大幅にカットしてくれます。
紫外線カット機能はもちろん、通気性や冷却性に優れたモデルも多く販売されるようになってきました。
ただ、やはり呼吸をしづらいというのがデメリットとしてあります。
④日傘
実はトレッキング用の日傘というものもあります。
日傘は、日差しをカットできる範囲が広いので、紫外線から身を守るという点ではかなり有効なアイテムです。
しかし、片手がふさがってしまったり、狭いスペースを歩くときに邪魔になったりというデメリットもあります。
紫外線対策として4つの方法を紹介しましたが、少なくとも「日焼け止め」と「サングラス」の2つは対策しておきましょう。
この2つとキャップを組み合わせれば、防暑性はかなり高まります。
まとめ
今回は、登山やハイキングではキャップとハットどっちがいいのか、その答えと理由を説明しました。
まとめに移ります。
・帽子に求められる役割は、「防暑性(通気性)」、「防寒性」、「防水性」、「ケガの防止」の4つ。
・無雪期では「キャップ」がおすすめ。
・キャップがおすすめの理由は、「①視認性が高いこと」、「②フィット感が高いこと」、「③レインウェアとの相性がいいこと」。
・キャップよりもハットの方が「防暑性」に優れているが、日焼け止めやサングラスを組み合わせることでカバーできる。
キャップかハットかで迷っている場合は、特にこだわりがなければ、まずはキャップを買ってみるのはいかがでしょうか。
ただ、「防暑性」を重視したい場合は、ハットを選択しましょう。