トレッキングポールの適正な長さ

トレッキングポールの使い方|1本2本どちらがいいの?持ち方や長さ調整について

トレッキングポールは有効に使いこなせるようになるまで、時間がかかります。
また、誤った使い方をしていると、かえって疲労やケガを招く可能性もあります。
今回は、トレッキングポールの正しい使い方について解説していきます。

 

トレッキングポールを使うときは1本?2本?

まずは、トレッキングポールの本数についてです。
登山やハイキングに出かけると、トレッキングポールを使っている人を多く見かけますが、よく見ると1本で使っている人と2本で使っている人がいます。基本的には、2本使用は「起伏にとんだ地形を歩く登山向き」で、1本使用は「地形変化の少ない平坦なコースを歩くハイキング向き」です。

 

2本使用は1本使用と比較して、推進力、衝撃の緩和、安定感すべてにおいて優れています。
しかし、歩行中に両手がふさがりますし、ポールをザックに取り付けるとき1本のときより重くなるというデメリットがあります。

 

1本使用は2本使用と比較して、歩行中に片手が空き、またポールをザックに取り付ける場合も2本のときより軽いです。
ただ、推進力、衝撃の緩和、安定感は2本使用よりも劣ります。

 

なお、グリップの形状によって、2本使用か1本使用かは概ね決まっています。状況に応じて、1本使用か2本使用かを決めましょう。

本数 グリップの形状 特徴
2本 I型 ・グリップからシャフトまで一直線上の形
・グリップを横からつかむようにして使う
・2本使いがスタンダード
・バランスが取りやすく、リズムよく歩ける
・起伏にとんだ地形を歩く登山向き
1本 T型 ・グリップはシャフトに対して垂直方向に取り付けられている
・グリップを上から握りこむようにして使う
・1本使いがスタンダード
・片手が空くので、写真を撮りながらゆっくり歩きが楽しめる
・地形変化の少ない平坦なコースを歩くハイキング向き
2way
(I&T型)
・I型とT型を合わせた形
・状況に応じてI型とT型のそれぞれのグリップを使い分けられるので、対応できる状況は広い
・1本使いがスタンダード
・T型よりは対応できる状況は広いが、あくまでハイキング向き
・商品数が少ない

 

トレッキングポールの長さ調整

次は長さ調整についてです。

 

トレッキングポールは、平地でポールをつかんだときに肘が直角に曲がる長さがベストです。
登りの時は短めに、下りの時には長めに、それぞれ5~10cmほど調整します。
引用:ハイカーズ大学

トレッキングポールの適正な長さ

 

私の場合は、次のように使用しています。

登り:平地で肘が直角に曲がる長さ-10cm
下り:平地で肘が直角に曲がる長さ+10cm

 

実際、登りや下りの勾配は都度変わるので、逐一長さを調整することは難しいです。
そこで、勾配がコロコロ変わる場面では、グリップを握る位置を変えることによって、素早く対応することもあります。

通常の持ち方
グリップの下部を持つ

 

また、トレッキングポールを地面に着く位置を変えて、調整することもあります。

重要なのは、肘を直角以上に曲げないことです。
肘を直角以上に曲げたり、腕を大きく振り上げるとその分疲労してしまうので、トレッキングポールを使うときは肘の角度を意識してみましょう。

 

トレッキングポールの持ち方

次にトレッキングポールの持ち方です。
トレッキングポールの上部にはストラップと呼ばれるひも状の輪がついています。
このストラップに手を通し、グリップを握ります。

 

トレッキングポールの持ち方

  1. ストラップの輪の大きさを調整する
  2. ストラップを広げ、ストラップの下から手を通す
  3. ストラップと一緒にグリップを握る

 

ストラップの輪の大きさを調整する
ストラップの下から手を通す
ストラップと一緒にグリップを握る

 

このようにトレッキングポールを持つと、グリップを強く握らなくても手の重みでトレッキングポールを支えて下に押し出すことができます。
ストラップを上から通したり、ストラップの輪が大きすぎたりすると、うまく力が伝わらないので注意しましょう。

ストラップを上から通している
ストラップの輪が大きすぎる

 

ただし、下りの場合は、手首に力がかかり過ぎたり、つまずいたときに咄嗟に手が出せなかったりなどの理由でストラップから手を外して使用する人もいます。

 

トレッキングポールを使った歩き方

次はトレッキングポールを使った歩き方です。
トレッキングポールを使った歩き方については、次の2つの動画が非常に参考になったので、ぜひご覧ください。

 

 

ポイントを書き出してみます。

 

山の歩き方 基本編より
・頭/肩/腰/くるぶしが一直線になるような姿勢からスタート
・骨盤を上下に持ち上げ、骨盤から前に出す
・骨盤の幅の2本の線の上を歩くイメージ

 

山の歩き方 トレッキングポール編より
・頭/肩/腰/くるぶしが一直線になるような姿勢をなるべく長く保つことが大切。ポールなどの補助器具を使って体を持ち上げることが有効。
・ポールは歩行に対する補助器具。前に進む/登る下る→足腰の仕事。左右のバランスを整える/軸を戻す→ポールの役割
・ポールのグリップを持つ手は体の面(幅)から外に開く
・肘関節は少し曲げる

 

基本的な歩きを身につけたうえで、トレッキングポールを補助的な役割として使用するということですね。

 

トレッキングポールのキャップ・バスケットの使い方

トレッキングポールには先端の石突きを覆うゴムキャップがあります。
石突きは鋭いので、そのまま歩くと地面や植生にダメージを与える可能性があります。
また、石突きが自分や他の人に当たればケガを負う場合もあるので、基本的にはキャップをつけておくのがよいでしょう。
よほど滑りやすい場所であればキャップを外して使ってもいいでしょうが、私ははずしたことはほとんどありません。

 

トレッキングポールの先の方には、バスケットをつけることもあります。
これはトレッキングポールが地面に過剰に突き刺さるのを防ぐ役割があります。
雪山用のものは面積の大きなバスケットを使用し、雪に埋もれないようになっています。
雪山ではバスケットがないとトレッキングポールが雪に深く刺さってしまい、歩きにくくなってしまいます。
雪用ではない通常のものは、逆に引っかかったり、かさばったりするので私はつけていません。

まとめ

今回は、トレッキングポールの使い方について解説しました。
まとめに移ります。

 

・2本使用は「起伏にとんだ地形を歩く登山向き」で、1本使用は「地形変化の少ない平坦なコースを歩くハイキング向き」。グリップの形状によって、2本使用か1本使用かは概ね決まっている。状況に応じて使い分けるのがよい。
・トレッキングポールは、平地でポールをつかんだときに肘が直角に曲がる長さがベストです。登りの時は短めに、下りの時には長めに、それぞれ5~10cmほど調整。
・頭/肩/腰/くるぶしが一直線になるような姿勢をなるべく長く保つことが大切。ポールなどの補助器具を使って体を持ち上げることが有効。
・トレッキングポールのゴムキャップは地面や植生にダメージを与える可能性があるので、基本的につけておくのがよい。
・トレッキングポールのバスケットは必須ではない。

 

参考:

・高橋庄太郎, 『山道具 選び方、使い方』, 株式会社枻(えい)出版社, 2013年, p.165- p.175.

・ホーボージュンら, 『山岳大全シリーズ① 山岳装備大全』, 株式会社山と溪谷社, 2011年, p.201-207.

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