登山靴の選び方これでもう迷わない!登山靴の適切な種類とサイズを解説

登山用品の中で、買うときに一番迷うのは、もしかしたら登山靴かもしれません。
買うのに迷うのには、主に以下の3つの理由があると思います。

 

①値段が高いため、失敗できないというプレッシャーがある。
②アルパインシューズやトレッキングシューズ、ハイキングシューズなどの分類がややこしい上に、種類が多い。
③人それぞれ足の形が大きく異なり、自分にフィットする靴を探すのが難しい。

 

①を解決するのはなかなか難しいですが、②③について正しい知識を身につければ、登山靴選びはぐっと簡単になります。
今回は、登山靴の種類を解説し、そのうえで自分にフィットする登山靴の選び方を説明していきます。

 

登山靴の必要性|スニーカーで代用できる?

登山を始めようとしている人にときどき聞かれるのが「スニーカーではだめ?」という質問です。
状況にもよるのですが、ルートの大部分が舗装路ではないときは、登山靴の購入をすすめています。
とくに、これから登山を続けていく可能性があるときは、購入した方がいいですよとお話しています。
理由としては、登山靴とスニーカーでは安全性や疲労度が大きく違ってくるからです。
せっかく登山やハイキングをはじめようと思ったのに、歩き疲れてやめてしまうのはもったいないですよね。

 

では、具体的に登山靴とスニーカーは何が違うのでしょうか。
登山靴はスニーカーと比較して、4つの点において優れています。
それは、「保護性」、「サポート性」、「速乾性」、「防水性」です。

登山靴の優れた点

 

保護性

登山靴はソール自体に凹凸がありグリップ力が強く、滑りにくい構造になっています。
また、つま先も硬く保護されているため、勢いよく岩などにぶつかっても指先をケガする心配がありません。
さらに、舗装路ではない自然歩道の場合は、地面に凹凸があり、木の根や岩が地面から突き出ています。
ソールが柔らかいスニーカーだと凹凸や突起が足裏にダイレクトに伝わるため、疲れやすいですが、登山靴はソールが固いので、そのような凹凸などが足裏に直接伝わることがなく快適に歩けます。

 

サポート性

登山靴の中には、ミドルカットやハイカットなどカット(履き口の高さ)が高いものがあります。
カットが高いものは足首をくるむ状態になるので、足首周りのサポート性はアップします。

 

速乾性

足はとくに蒸れやすく部位で、濡れた状態だと皮膚が柔らかくなり、マメや靴擦れ発生の原因となります。
登山靴はメッシュや速乾性に優れた生地が使用されており、スニーカーよりも速乾性に優れたモデルが多いため、このようなトラブルも少なくなります。

 

防水性

登山靴の中には、防水性に優れたモデルもたくさんあります。
防水性をもつ靴であれば、雨の中を歩いたり水たまりで靴が濡れたりしても、水が浸入してくるのを防いでくれます。
とくにゴアテックス製であれば防水性と速乾性を両立するので、おすすめです。
ゴアテックスは水と風をさえぎってくれるので、気温が低いときは末端の体温を維持してくれるのにも役立ちます。

 

この4つのメリットによって、登山靴は、登山やハイキングを安全で快適なものにしてくれます。

 

登山靴の種類|トレッキングシューズとハイキングシューズの違いは?

登山靴にはどのような種類があるのでしょうか。
カットの高さとソールの硬さでおおまかに分類してみましょう。

登山靴の分類①

 

赤枠で囲っているものが、一般的に「登山靴」と呼ばれるものです。
その中には、アルパインブーツやトレッキングブーツ、ハイキングシューズなどと呼ばれるものがありますが、実はこれらの明確な定義はなく、境界線もあいまいです。
また、呼び方もメーカーや人によって変わるので、ここでは大まかな分類と用途を確認し、自分の欲しい靴がだいたいどの分類に入るのかを把握しておくといいでしょう。

 

つぎに、さきほど分類した登山靴がどのようなシーンで用いられるのかを見てみましょう。

登山靴別の適したシチュエーション

 

横軸が「移動スピードの速さ(または荷物の重さ)」を示し、縦軸が「路の舗装状況」を表しています。
例えば、トレランシューズは、未舗装路をすばやく移動する(荷物軽め)ので、右下のエリアに入ります。
トレッキングシューズは、未舗装路をゆっくり移動する(縦走などで荷物が重い)ので、左下のエリアに入ります。
自分が歩く路や、移動スピード(荷物の多さ)を考慮し、どのエリアに当てはまるかを考えてみましょう。

 

登山靴の分類について、ここで一度整理してみます。

登山靴の分類②

参考:朝比奈耕太編集 『PEAKS(ピークス) 2019年 5月号』, 株式会社枻(えい)出版社, 2019年, p.26-27

 

登山靴の選び方① 種類を選ぶ

登山靴の種類が確認できたので、実際に登山靴を選んでいきましょう。
自分がこれから登る山が決まっているならば、それに該当するものを選びましょう。

 

登山を始めたばかりで最初の1足を選ぶのに迷っているのであれば、次の3つの条件を満たすものがおすすめです
(ただし、雪がある状況や岩場などが多いコース、長期縦走を歩く場合は別です)。

 

・ミドルカットのトレッキングシューズ
・ビブラム製のソール
・ゴアテックス使用

 

3つの条件を満たす登山靴を選ぶ理由は、もっとも汎用性が高いからです。
条件にも寄りますが、気軽なハイキングから1,2泊くらいの小屋泊までであれば、基本的に対応できます。

 

雪がある状況や岩場などが多いコース、長期縦走を歩く場合はより上位のトレッキングシューズやアルパインシューズが必要です。
逆に舗装されたルートが多い場合は、ソールが柔らかいローカットのハイキングシューズやトレランシューズがおすすめです。

 

登山靴の選び方② 商品を選ぶ

登山靴の種類が決まったら、いよいよ商品を選んでいきます。
商品選びのポイントはなんと言っても「足に合うかどうか」です。
どんなに優れた機能を持っていても、どんなにかっこいいデザインのものでも、足に合っていなかったら苦痛な旅になってしまいます。
靴の形はメーカーによって大きく違いますし、人の足の形も千差万別です。
必ず試し履きをして、自分の足の形にあったものを選ぶようにしましょう。
商品選びの手順は、次の通りです。

 

①足のサイズを測る
②靴下を選ぶ
③自分のサイズ(足長)、ワイズ(足囲)あった靴を選んでもらう。
④フィッティングする
⑤試し歩きをする

 

①足のサイズを測る

まずは裸足のサイズ(足長)、ワイズ(足囲)を測ります。

 

足長(そくちょう) 靴の「サイズ」というのは、この「足長」のことだ。最も長い足指(親指のことも人さし指のこともある)の先から、踵の最も出っ張ったところまで。定規などを垂直に立てて測る

足囲(そくい) 親指の付け根の出っ張ったところと小指の付け根の出っ張ったところの周囲長を「足囲」という。これを測る際には両足で均一に立ち「体重をかけた状態」でメジャーを回して測るのが正しい

ホーボージュンら 『山岳装備大全』, 株式会社山と溪谷社, 2011年, p.17

 

サイズとワイズ

 

普段スニーカーを選ぶときは、サイズ(足長)のみを気にすると思いますが、サイズ(足長)とともに、ワイズ(足囲)も測ることで、よりぴったりな登山靴を選択できます。
正確なサイズ(足長)とワイズ(足囲)を自分で測るのは難しいので、登山用品店などで測ってもらうのをおすすめします。

 

②靴下を選ぶ

次に靴下を選びます。
靴下1つ違っただけで、靴の履き心地やサイズ感は大きく変わってきます。
登山靴の種類が決まっているので、それにあった靴下をまず選び、それを履いた状態で登山靴を試し履きしましょう。
私はいつも靴下をお店に持参して、それを履いてから試し履きするようにしています。
もし持参できなかった場合は、登山用品であれば登山用の靴下を貸し出してくれます。
靴下の選び方は、こちらの記事を参照してください。

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③自分のサイズ(足長)、ワイズ(足囲)あった靴を選んでもらう。

まずはワイズでしぼっていきます。
例えばワイズがEEE(幅広)の人が、ワイズD(幅狭)の靴を選んだら、靴の中で必ず足が当たる部分がでてきます。
逆にワイズDの人が、ワイズEEEの靴を選んだ場合、足を入れたときに当たりが少ないのですんなり履けてぴったりだと感じることがありますが、歩いているうちに靴の中で足がずれるので注意が必要です。
これらのトラブルをなくすために、自分のワイズにあったものを選びます。

 

次にサイズです。
サイズ(足長)よりも0.5cm~1.5cm大きいものを出してもらいましょう。
余裕があれば、サイズ+0.5cm、サイズ+1.0cm、サイズ+1.5cmの3パターンを履き比べてみるといいと思います。

 

④フィッティングする

次にフィッティングをしていきます。

 

(1)靴下を履く
(2)靴ひもを緩める
(3)つま先が靴にふれるまで足を入れる。このとき、かかとに指が1本分入るくらいスペースがあればサイズがあっている

 

(4)踵を床に軽くトントンとつき、踵をきっちり合わせる

(5)つま先側から靴ひもをしめていく
(6)フィット感を確認する。

  • 足の指先を動かして当たりがないかを確認する(つま先を「握って戻す」という動作を繰り返す)。このとき、指先が自然に動かせなければいけない。
  • 足の甲を手の平で押して、圧迫感がないかを確認する。
  • 親指と小指の付け根が圧迫されていないかを確認する。
  • 立ち上がって、もう一度「つま先」、「足の甲」、「親指と小指の付け根」を確認する

フィッティング

⑤試し歩きをする

フィッティングが終わったら、必ず試し歩きをしましょう。
登山用品店ではほとんどの場合、登山道を模したスロープなどが用意されています。
確認すべき点は、以下の項目です。

 

  • 平地を歩いたときに、かかとが浮かないか
  • 登りで足首に当たりがないか
  • 下りでつま先が当たらないか

 

登山靴はどこで買う

靴の形はメーカーによって大きく違いますし、人の足の形も千差万別なため、実際に履いてみないと自分の足とあうかどうか分かりません。
ですから、登山靴は実際に試し履きをしてから買うべきです。
ネットなどでデザインだけで決めてしまうのは避けたいところです。

 

では、実際にどういうお店にいけばよいのでしょうか。
おすすめは、やはり下記のような登山用品店です。
種類も豊富ですし、店員さんも登山専門の知識を持った方が多くいます。

 

[全国展開]

  • 好日山荘
  • モンベル
  • 石井スポーツ

 

[関東エリア]

  • カモシカ
  • さかいやスポーツ

 

特にさかいやスポーツは、ウェア、シューズ、キャンプなどジャンルごとにお店が分かれており、品ぞろえもかなり豊富です。
私も実際にさかいやスポーツのシューズ館で購入しています。

 

一方で、大型スポーツ量販店の登山コーナーで買うのはあまりおすすめできません。
品物自体は悪くないのですが、登山用品店と比較すると、どうしても品数が少なく、店員さんも登山専門の知識をもった人が少ない印象です。

 

登山靴の使い分け

頻繁に登山に行くようになったら、登山靴を使い分けるのをおすすめします。
登山靴がどのようなシーンで用いられるのかの図をもう一度示します。

登山靴別の適したシチュエーション

 

どの登山靴にも適したシチュエーションがあり、すべてのシチュエーションに対応できる靴はありません。
一方で、登山を始めたら、色んな場所で色んな歩き方をしてみたいという欲がでてくると思います。

 

舗装路も合わせた里山を軽快に歩きたいと思うこともあれば、テントを背負って長期縦走に挑戦してみたいというような感じです。
そのような場合、すべてを一足で対応しようとするとどうしても無理がでてきてしまい、身体や靴の故障につながる可能性があります。

 

まだ、やりたい登山の方向性が明確に決まってない場合は、はじめに汎用性の高い「ミドルカットのトレッキングシューズ」を選び、それに足りない部分を補う形でもう一足そろえてみるのがいいと思います。

 

まとめ

今回は、登山靴の種類を解説し、そのうえで自分にフィットする登山靴の選び方を説明しました。
まとめに移ります。

 

・登山靴はスニーカーと比較して、「保護性」、「サポート性」、「速乾性」、「防水性」の4つの点において優れており、安全に快適に歩くことができる。
・登山靴には、「アルパインシューズ」、「トレッキングシューズ」、「ハイキングシューズ」、「アプローチシューズ」、「トレランシューズ」などがある。
・登山をはじめた人が最初に選ぶ1足は、ビブラム製のソールのゴアテックスを使用した「ミドルカットのトレッキングシューズ」がおすすめ。
・商品選びの手順は、①足のサイズを測る、②靴下を選ぶ、③自分のサイズ(足長)・ワイズ(足囲)あった靴を選んでもらう、④フィッティングする、⑤試し歩きをする
・登山靴を買うなら、ネットではなく登山用品店へ行った方がよい。
・シチュエーションにあわせて、登山靴を使い分けるのがベスト。
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