登山の持ち物リスト公開|日帰りとテント泊・山小屋泊シチュエーション別に紹介

いざ登山に行くことになったものの、いったい何を持っていけばいいのだろう。
とりあえず必要そうなものをザックに詰めて背負ってみたけど、重すぎる…。

 

登山はただでさえハードな運動なので、できるだけ荷物は軽くしておきたいですよね。
不要なものは極力置いていきたいけど、何が必須アイテムか分からず困ってしまうことがあると思います。

 

今回は、日帰りと山小屋泊、テント泊のシチュエーション別に持ち物を紹介していきたいと思います。
また、持ち物のリストも公開します。
なお、この記事では無雪期の登山やハイキングを想定しています。

 

持ち物を選ぶルールとは

まず、はじめに登山の持ち物を選ぶルールを解説します。
これは、私がいつも持ち物を選ぶ際に基準としているものです。
ルールは2つだけです。

 

ルール①:生存に関わるものは必ず持っていく
ルール②:荷物はできるだけ軽く

 

ルール①:生存に関わるものは必ず持っていく

まずは「ルール①:生存に関わるものは必ず持っていく」から説明します。
サバイバルの世界では、生存のために必要な「3の法則」と呼ばれるものがあります。

 

3分間、呼吸が絶たれれば、生存が困難になる(呼吸)
3時間、極度な低温・高温にさらされれば、生存が困難になる(体温)
3日間、水が補給できなければ、生存が困難になる(水)
3週間、食料が補給できなければ、生存が困難になる(食料)

引用:土屋智哉, 『ウルトラライトハイキング』, 株式会社山と溪谷社, 2017年, p.116.

 

簡単に言うと、生存のためには「呼吸」、「体温」、「水」、「食料」の4つが不可欠ということです。
これは登山においても同様です。
この4つに関するアイテムは省略することはできません。

 

呼吸

ほとんどの人は、1500~2000メートルであれば1日で問題なく登ることができますが、2500メートル登るとなると約20%、3000メートル登ると約40%の人に何らかの高山病の症状が現れると言われています。
高山病は、高地で酸素が欠乏することによって引き起こされるものなので、最善の予防策はゆっくりと登ることで、最善の治療は標高を下げることです。
参考:MSDマニュアル

 

高山に登るときは、予防として必要に応じ薬を持つこともあるようです。
私自身は薬は持っていったことはありませんが、3000m以上の山に登ったときは、手足がむくんで身体がだるくなり、高山病を実感したことがあります。
必要に応じて薬なども用意しましょう。

 

体温

「体温」の確保はとくに重要です。
3時間、極度な低温・高温にさらされれば、生存が困難になると言われており、登山ではそのような状況に陥る可能性が少なからずあるからです。

 

特に「低温」が大敵で、低温をいかに回避するかがポイントとなります。
寒い時期に雨で身体が濡れ、そのまま遭難した場合は、命に関わります。

 

体温を奪うのは、主に「水」と「風」なので、この2つを防ぐアイテムは必ず持っていきましょう。
「水」と「風」を防ぐアイテムとは、具体的には、「レインウェア」、「ベースレイヤー(アンダーウェア)」、「登山シューズ」です。
「レインウェア」、「ベースレイヤー(アンダーウェア)」、「登山シューズ」については、家にあるもので代用せずに、きちんとした機能をもつものを買いましょう。

関連記事

さて登山でも始めますか。 そう思い立ったのはいいけど、登山用品一式をそろえるのにどれくらいの費用がかかるんだろう?   あなたが登山初心者で、これから登山をはじめようと思ったとき、もしお金に余裕があれば、すべ[…]

登山用品一式

 

登山を始めたころは、持っていくべき水の量が分からなくて、多すぎたり少なすぎたりすることはよくありました。
多いのはまだいいのですが、夏場の登山中に水がなくなってしまうと本当につらいものです。
登山中に必要な水分量というのは、下の式で求めることができます。

 

「登山中に必要な水分量(mL)=自重(体重+ザック)(kg)×5×行動時間(hr)」

引用:ファイントラック

 

例えば、体重とザックを合わせて70kgの人が5時間の登山をするとします。
登山中に必要な水分量(mL)=70(kg)×5×5(hr)=1750mL

 

この場合、2000mLあれば足りるでしょう。
ただし、あくまで計算式なので、季節や運動強度によって少しずつ変わってきます。
また、食事の際に必要な水分は別で用意しましょう。

 

食料

登山は意外にも強度の高いスポーツで、多くのエネルギーを必要とします。
また、長時間歩くこともあるので、通常の食事にプラスして補給が必要になる場面があります。

 

消費カロリー(kcal) = METs × 時間 × 体重(kg)

ハイキング 6METs(4METs)
一般登山 7METs(5METs)
バリエーション登山 8METs(6METs)
※これらの数値は主に登りでの値であるため、実際の登山においては下りもあれば休憩もするので、カロリー計算をする場合には()内の値を用います。

引用:松本協立病院

 

例えば、体重60kgの人が5時間の一般登山をするとします。
消費カロリー(kcal) = METs × 時間 × 体重(kg) =7×5×60 = 2100kcal

 

およそ2000kcalのカロリーが必要となります。
私は遭難したときのことを考えて、少し多めの行動食を持ち歩くようにしています。
お弁当や生もの以外の食料品であれば、余っても保存がきくので便利です。

 

ということで、「呼吸」、「体温」、「水」、「食料」の生存に関わる4つについては必ずもっていくようにします。

 

これ以外にもスマートフォンやライター、ヘッドランプなど遭難時に大きな助けとなり、広い意味では生存に関わってくるアイテムは、持っていくようにしましょう。

 

ルール②:荷物はできるだけ軽く

次のルールは、荷物はできるだけ軽くするということです。
生存に関わるアイテム(防寒着、水、食料など)を持った時点で、実は結構重くてかさばります。
ですから、それ以外のものは、安全な登山ができる範囲で本当に必要かどうかを考えて、必要ないと判断したら極力置いていきましょう。
必要なものでも、なるべくより軽いものを選んだり、他のアイテムで代用できないかを考えたりします。
1kg違えば、一日持ち続けていると疲労度はかなり変わってきます。
重い荷物で体力を失えば、その分、遭難の可能性も高まります。

 

登山の持ち物チェックリスト

日帰りと山小屋泊、テント泊登山の持ち物リストを整理してみます。
このリストを参考に、持ち物をそろえてみてください。

登山持ち物リスト①

登山持ち物リスト②

PDFファイルはこちらです。

登山持ち物リスト①_PDF
登山持ち物リスト②_PDF

 

日帰り登山の持ち物

では、実際に日帰り登山の持ち物の例を紹介します。
5月の本州2000mくらいの山を想定しています。
写真は、身につけるものは除外し、ザッグに詰めるものだけを写しています。
実際は、ここに飲料や食料品が加わります(次の山小屋泊登山、テント泊登山の写真も同様です)。

日帰り登山の持ち物

日帰り登山の持ち物一覧

 

山小屋泊登山の持ち物

次に山小屋泊の持ち物の例を紹介します。
こちらも5月の本州2000mくらいの山を想定しています。
山小屋では食事や寝床を提供してくれるので、実際に日帰りと比べてもそれほど持ち物は増えません。
日帰り登山の持ち物に、着替えや洗面道具が少し増えるくらいです。

 

テント泊登山の持ち物

次は、テント泊登山の持ち物の例です。
こちらも5月の本州2000mくらいの山を想定します。
テント泊は「衣・食・住」をすべてザッグに詰めていかなければいけないので、日帰り登山や山小屋泊登山と比較して、持ち物は大幅に増えます。

テント泊登山の持ち物

テント泊登山の持ち物一覧

 

重さに注目してもらうと、11kg以上あります。
これに飲料と食料が加われば、ザッグの重さが15kgを超えることはザラにあります。
体力のない人にとっては簡単に持ち運べる重さではないので、安全な登山が担保された範囲で、本当に必要なものは何かを見極め、軽量化していくことが重要です。
私自信も体力がないので、ギアを一から見直して、軽量化を図っているところです。

 

まとめ

今回は、日帰りと山小屋泊、テント泊のシチュエーション別の持ち物について紹介しました。
まとめに移ります。

 

・持ち物を選ぶルールは2つ。
・ルール①:生存に関わる「呼吸」、「体温」、「水」、「食料」の4つに関係するアイテムは、必ずもっていく。これ以外にもスマートフォンやライター、ヘッドランプなど遭難時に大きな助けとなるアイテムも持っていく。
・ルール②:荷物はできるだけ軽くする。安全な登山ができる範囲で本当に必要かどうかを考え、必要ないと判断したら極力置いてく。必要なものでも、より軽いものを選んだり、他のアイテムで代用できないかを考えたりする。
・山小屋泊は、日帰りと比べてもそれほど持ち物は増えないが、テント泊は「衣・食・住」をすべてザッグに詰めていかなければいけないので、持ち物は大幅に増える。安全な登山が担保された範囲で、軽量化していくことが重要。
最新情報をチェックしよう!